【Rewriteネタバレ】なぜヒロイン個別ルートは淘汰されねばならないのか? ―「子供兵士」を手がかりに―

この記事には、Keyの新作Rewriteの結末までのネタバレが含まれています。








Rewriteを終えたプレイヤーは、ヒロイン個別ルート(共通シナリオ後に始まる小鳥、ちはや、朱音、静流、ルチアのヒロイン5人のシナリオ)のあまりに「過酷な淘汰」されっぷりに誰もが驚くことでしょう。


なぜ、プレイヤーの分身たる主人公・瑚太郎(つまり俺)と小鳥のラブラブふしだら生活(小鳥アフター)や、
ルチアとのラブラブシェルター生活(ルチアフター)や、
静流とのラブラブ触手蔓樹液まみれ生活(静流さんまふたー)や、
ちはやとのラブラブ「咲夜に見られちゃう……です」生活(ちはや執事は見てたー)や、
会長とのラブラブ追放生活(・人・)が、
すべて「失敗したシミュレーション結果」として否定されねばならないのだ!?
と憤慨されている鍵っ子諸兄姉は少なくないと思われます。


「個別ルートはどれも篝ちゃんが望む人類の宇宙進出を達成できないから」という説明はあるのですが、
数十年後に世界が滅びるとしても今ここでヒロインとおっぱいわっしょいできればそれでいいではないか、それこそがヒロイン(と俺)の幸福なのだから、
ヅャスコでプレイの幅を広げるアイテムを爆安ゲットしたり、小鳥がうっかり脱法媚薬ハーブを乱用してしずめる方法は俺が知っている俺に任せろしたりするような真に18禁に相応しいファンディスク希望、
と切なる願いを抱いてしまう平均的なエロゲー脳である私たちプレイヤーにはなかなか受け入れられない理屈ではあります。


しかしながら、
人類宇宙に広がり満ちるべし、さもなくば滅ぶべし、という神から目線(上から目線の最上級)ではなく、
また、ロリコン(ノームネー)とマザコン(全地球規模)を同時に満たす篝ちゃんは最萌だから篝ちゃんの願いを叶えるのが正義という萌えの押し付けでもなく、
もう少し人間らしい目線で考えてみたところ、


ヒロインたちが「子供兵士」にされ過酷な人生を強いられたから、個別ルートは淘汰されるべき。


という、うぐぅの音も出ないほど正しく受け入れざるを得ない答えが見つかりました。


子供兵士とは本作中のわかりやすい例ではヤスミンやミドウのような境遇の子供たちです。


少年兵 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%91%E5%B9%B4%E5%85%B5


ヤスミンやしまこのような幼い子供が「洗脳」され使い捨てのように戦わされる魔物使いは魔物というファンタジーを除けばまさに「子供兵士」です。
一方、ガーディアンの超人兵士も、素質のある子供が半ば強制的にスカウトされて軍事訓練を受けさせられるという「子供兵士」です(バトル物ではありふれた設定ではありますが)。


個別ルートのヒロイン5人はみな魔物使いまたは超人兵士として小学生の頃から高校生になった現在まで戦いに巻き込まれており、学校にはあまり通えなかったという境遇にあります。
共通ルートはヒロインたちがたまたま学校に通い部活ができた幸福な一時でしたが、
そんな日常もお互いの敵対する立場が露見した途端に終わり、彼女たちは誰も学校に顔を出さなくなってオカ研はあっけなく崩壊してしまいます。


最終シナリオで瑚太郎は、個別ルートが始まる10年ほど前にヤスミンら子供兵士の悲劇を経験し、
超人兵士や魔物使いにされようとしている子供たちの保護を始め、
既に魔物使いとなっていた小鳥からも戦う動機を奪って日常に戻らせ、
最後に、子供たちが兵士になることなく学校に通える世界を作りました。


エンディングの画像が示唆するように、しまこも、個別ルートでは破滅的な生き方をしていたミドウ、テンジン、テンマも、子供兵士の境遇から救われ違った人生を歩んだことでしょう。


そして、5人のヒロインたちは、大きな災害と技術革新の後ではありますが、やがて回復した日常の中で新しい世界なりに平凡に幸せに学校に通い、エピローグであのひらひら制服を着ていたことから揃って風祭学院に進学し(ちはやだけ制服が違うのは、朱音ルートの人口来世と同じく魔物文明社会では服が貴重品となり、全員同じ制服が用意できなかったからに違いありません!)、お互いに素性を隠した敵対する組織の一員などではなく仲の良い普通の友達同士としてオカ研を結成したのでしょう。


そう、書き換えることができたのです。「子供兵士」としての人生を強いられるはずだった――彼女たちの、その運命を。